2.24後の世界で 第3回 侵攻から半年

 

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2022年2月24日。

この日付は未来の人たちにどう記憶されるのか。プーチンウクライナに軍事侵攻した日から、世界の景色は一変した。虚実入り交じる情報。分断に向かう世界。不安が覆う社会で私たちはどう生きればいいのか。

これまでの経緯を綴っていきたい。

 

 

ロシアがウクライナで行っている戦争を公然と批判したロシア空挺部隊の元隊員が取材に応じ、ウクライナ侵攻を正当化するロシア側の主張は「何もかも嘘」だと訴えた。

パベル・フィラティエフさん(33)は2週間前、ウクライナでの戦争を批判する長文の証言をその後ロシアを離れた。ウクライナ侵攻を公然と批判して出国した現役のロシア兵は今回が初めてだった。身の安全のため、取材場所は明らかにしていない。

取材に応じたフィラティエフさんは、仲間のロシア兵たちは疲労し、飢え、幻滅していると証言。ロシアの戦争は「平和な生活を破壊している」と語り、「私たちは、単純に街を破壊するだけで実際には誰も解放していない衝突に自分たちが引きずり込まれたことに気づいた」と話した。

 


「自分たちの政府が私たちに説明しようとしている理由が見当たらないことに、私たちの多くが気づいた。何もかも嘘だったと」「私たちはただ、平和な生活を破壊している。この事実は私たちの士気に重大な影響を与えた。私たちは何ひとついいことをしていないと感じた」

母国では腐敗と抑圧が蔓延(まんえん)しているとフィラティエフさんは訴える。クリミア半島に駐留していた同氏の部隊は衝突が始まって間もなく、ウクライナヘルソン州に派遣されたが、装備は不十分でロシア軍の侵攻理由に関する説明はほとんどなかったと振り返った。

兵士も司令官もウクライナで自分たちが何をすべきか知らなかったとフィラティエフさんは言う。ヘルソンに到着し、「解放」を望んでいない地元住民の抵抗に遭ったことで、ロシアの身勝手な侵攻理由に幻滅したと言い添えた。

フィラティエフさんの部隊は南部の港湾都市ミコライウ制圧を目指す作戦にも関与したが、負傷して第一線を退いた。

 

自分が戦闘の最前線にいた当時、ロシア軍には基本的な装備も、ドローンなどの無人機もなかったと話し、「兵舎はおよそ100年前の古いもので、兵士全員は収容できない。私たちの兵器は全てアフガニスタン時代のものだ」と指摘した。

「ヘルソンを包囲してから数日たつと、私たちの多くは食料も水も寝袋もなくなった」「夜はとても寒かったので眠ることさえできなかった。私たちはごみやボロ布を見つけ、体に巻いて暖を取った」

ヘルソン制圧はロシア軍にとって悪い結果だった。ウクライナは今、同市の奪還を目指して南部で戦闘を激化させている。

 

プーチンが何を考えているのか分からないとフィラティエフさんは言う。「国外に出て、銃を持たなくなった今、これは自分たちの政府がやり得る限りで最悪かつ最も愚かなことだと私は思う」「政府が私たちをどこへ導いているのか分からない。次はどうなるのか? 核戦争か?」

「私の国に起きていることを見ると恐怖に駆られる。何もかも破壊され、腐敗している」「唯一機能しているのは抑圧的な法律だけだ」

フィラティエフさんはある程度のメディア取材に応じた後に出国したが、自分の発言をめぐって政府に報復されるかもしれないと予想してこう語った。

「私は刑務所に入れられるか、あるいは彼らが私を排除して黙らせるかのどちらかだろう。過去にそうしたケースはたくさんあった」

「ほかに脱出する道は見えなくなる」

 

 

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