空襲1945 第3回 アンパンマンの正義論
B29から雨嵐と降り注ぐ焼夷弾で逃げ惑う人々は街と共に焼き払われた。東京大空襲を初めに全ての本土が爆撃を受けた戦時中のフィルムに残る空襲生々しい傷痕の記憶を後世に伝える
赤い服を着せられ球場へ。そんな幼子をカープ戦で見かける。野球は分かるはずもないが、真っ赤なほっぺのほころぶ瞬間がある。松山竜平選手の打席。愛嬌(あいきょう)のある、丸顔の強打者はアニメの軽やかなマーチとともに現れる。
♪何のために生まれて 何をして生きるのか…。子どもらが口ずさむアンパンマンの主題歌はそっと、深く問い掛ける。腹ぺこの仲間に自分の顔をちぎって渡す。自己犠牲のヒーローを描いた、やなせたかしさんが亡くなった。
原点は中国での従軍体験。飢えて野草まで食べたという。本当の正義とは。漫画家は戦後、激変した国で考える。たどり着いた答えは、献身と愛。大げさに考えなくていい。ひもじい人に一片のパンを差し出すことという。
小さきものや弱きものに注ぐまなざしは、優しく愛情にあふれていた。ミミズだって オケラだって…。作詞した「手のひらを太陽に」は生命の賛歌。生きている皆が友達だと。悪さする者も受け入れるようにばいきんまんはアンパンチで飛ばされて、星に。でもまた姿を見せる。癌や心臓病などを何度も患いながらも、明るく生きた94年と重なるよう。親子で楽しみを歌い継ぎたい